レイクウッドの森

アルバートファンによる不朽の名作「キャンディ・キャンディ」の二次創作ブログです。

花咲くポニーの丘で ①

~キャンディ、自分の足でしっかりと歩き始めた君。いつまでも君を見守るよ。たとえ君の心の中に他の誰かがいたとしても・・・。~


ポニーの丘


そこは四季おりおりの花が咲き乱れ、可愛い笑い声がこだまする、君のふるさと・・。
可愛い子分たちを引き連れ、木漏れ日の中に君の笑顔が揺れる。
もうすぐ君は僕を見つけるだろう。

そのクリクリとした大きな緑色の瞳を輝かせて叫ぶに違いない。

アルバートさん!」

そして駆けて来る。君は2年前のあの時と少しも変らず・・。
「あぁ、驚いたわ。子供達と遊んでいたら、いきなりアルバートさんの姿が見えたんですもの」
「驚かせてすまないね。ちょっと仕事で近くまで来たから君の顔を見たくなってね」
アルバートは眩しそうにキャンディを見た。
あどけない少女から大人の女性へ・・ちょうどそんな時期なのかもしれない。

(会うたびに綺麗になっていく。キャンディ、君はもう立派なレディだね。)
そんなアルバートの心の内を知るよしもなく、キャンディは子供達に囲まれて笑っていた。
「あ!アルバートおじさんだ~」

「最近、なかなか来てくれなかったよね~」
 口々にポニーの家の子供達が叫ぶ。

「こら!おじさんじゃないでしょ。お兄さんって言いなさい。でないとお土産貰えなくなっちゃうわよ~」
おどけたようなキャンディの言葉にアルバートもつられて笑う。
「あはは。この子達にとっては立派なおじさんだよ。かまわないさ、お土産はちゃーんとあるから」
「わ~い!」子供達の大きな歓声が上がる。

その中の一人が急に真面目な顔をしてキャンディとアルバートを見上げた。
「ねぇ。キャンディはアルバートおじさんとアーチー兄ちゃんのどっちが好きなの?」
「もちろん、どっちも好きよ!」当然という顔でキャンディが答える。
「違うよ。どっちが恋人なのかってことだよ」
これにはキャンディもアルバートも面食らってしまった。
「あ、あのね。そんなんじゃないのよ。それにアーチーにはアニーがいるでしょ?」
「あ~、知ってる!あの綺麗なお姉ちゃんだよね。そばかすもないし!」
 別の子がはやし立てる。
「そばかすは余分です!」キャンディがプッと頬を膨らます。
「違うよ、キャンディが好きなのは役者のお兄ちゃんだよ。ほら、この前先生が見てた雑誌に載ってる・・えっと・・」
「あ~、知ってる!ハム・・ハム・・えっと・・」言葉が出てこないようだ。
ハムレット!」一人の子供が得意げに叫んだ。
「そう、それ!あのお兄ちゃんが好きなんだよね。先生たちが話しているのを聞いた事あるもん」
 放っておくと子供達の話はどんどん大きくなっていきそうだ。

 慌てたのはキャンディだった。
「と、とにかく、私にはここにちっちゃい恋人がいっぱいいるからそれで十分なのよ。さぁ、もうお昼寝の時間よ。早く戻りなさい」
「はぁ~い」
 子供達がポニーの家へ向かって駆けて行く。
「でも・・アーチー兄ちゃんはキャンディが好きだと思うよ。そして、アルバートおじさんも・・」
さっきの子が呟いた一言は誰の耳にも届くことはなかった。