レイクウッドの森

アルバートファンによる不朽の名作「キャンディ・キャンディ」の二次創作ブログです。

アルバート編・愛の夢

愛 の 夢 最終話

いよいよキャンディの退院の日がやってきた。キャンディの気持ちを思いやり、アルバートの計らいで迎えは誰も来ていない。 「マーチン先生、ハウエル先生。お世話になり、ありがとうございました。」キャンディとアルバートは深々と頭を下げた。 「キャンデ…

愛 の 夢 ⑫

「・・ンディ。キャンディ。」 呼び続けるアルバート。その時キャンディの瞼がそっと開き、緑の瞳が現れた。 「キャンディ!あぁ、気がついたんだね。神よ、感謝します!」マーチン先生とハウエルもホッとしたような顔になった。 「アルバート・・。私、どう…

愛 の 夢 ⑪

~ニューヨーク・ストラスフォード劇団~ 「よぉ、テリィ。せっかくの『ハムレット』がおじゃんになって残念だったな。」 一人の劇団員が軽口を言いながらテリィの肩をポンポンと叩いた。 他の団員が慌てて「おい、止めろよ。こいつの気持ちも考えてやれ。」…

愛 の 夢 ⑩

「ディルマンさん。僕は彼女に初めて想いを告げた時、ポニーの家まで祈るような気持ちで車を走らせたんですよ。どうやら、今回も同じ事をしないといけないらしい。」 彼はそう苦笑しながら溜息をついた。 「アードレーさん、では・・・。」 「彼女を迎えに行…

愛 の 夢 ⑨

キャンディがポニーの家に帰ってから3週間が過ぎた。 人の噂など、そう何日ももつものではない。 一時は社交界中が大騒ぎとなったスキャンダルも、最近は人々の口に上ることもあまり なくなってきた。キャンディの懐妊が表立っては伏せられていたこと、今回…

愛 の 夢 ⑧

それから数日間、キャンディはずっとベッドに臥せったままだった。 襲いくる激しい嘔吐感。つわりなのだろう。いつも辛い時、必ずそばにいてくれた人は今はいない。 「キャンディ、大丈夫かい?」そっと部屋に入りながら、気遣うようにアーチーが尋ねた。 「…

愛 の 夢 ⑦

キャンディが慈善パーティから戻ると、そこにはイライザがいた。 「あら、キャンディ。よく平気な顔をして帰ってこれたものね。さすがみなしごは神経が図太いわ。」イライザが不敵な笑みを浮かべている。 「いったい、なんのこと?」キャンディには何を言っ…

愛 の 夢 ⑥

「お帰りなさい、アルバート。」キャンディはアルバートにそっとキスをした。そんなキャンディを軽く抱きしめながら 「ただいま、キャンディ。会いたかったよ。こっちへ来てごらん。お土産があるんだ。」そう言って彼が差し出したのは、可愛いデザインのエメ…

愛 の 夢 ⑤

キャンディはどうやって屋敷に帰ってきたのか覚えていない。ただテリィから逃れるため、夢中になって走った。(テリィ、どうしてなの?)何度も何度も心の中のテリィに問いかける。予期しない突然の再会。 その日、彼女の心は乱れに乱れた。 次の日の朝、目…

愛 の 夢 ④

二人はまるで磁石に吸い付けられるかのように歩み寄った。 ニューヨークのあの辛い夜以来の再会。 「キャンディ・・。あぁ、本当にキャンディなんだな。俺は夢を見てるんじゃないよな。」懐かしいテリィの笑顔。今まさに思い浮かべていたその人。 「テリィ・…

愛 の 夢 ③

「じゃあ、キャンディ。行って来るよ。」 出発を前にアルバートはキャンディの頬に軽いキスをした。「お気をつけて行ってらっしゃい。ロサンゼルスにはどれくらい?」「多分1週間くらいで帰れると思うよ。早く君の顔が見たいからね。急いで仕事を片付けて帰…

愛 の 夢 ②

「まぁ、スザナ。よく来てくれたわ。」キャンディが嬉しそうに駆け寄った。「キャンディ、おめでとうございます。今日のあなたは格別にきれいだわ。」松葉杖はついているものの、さして不自由な様子もなくスザナもにこやかに答えた。「ミス・マーロウ、お会…

愛 の 夢 ①

※「花咲くポニーの丘で」のその後の物語です。 「雪・・・。」キャンディは窓の外を見やってそう呟いた。 ここは広大な敷地を持つシカゴのアードレー家本宅。キャンディがここで暮らすようになってもう1年が経つ。アードレー家総帥アルバートの優しい求愛。…